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『ゴシックと身体:想像力と解放の英文学』(松柏社)&『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋)W刊行記念 小川公代&小林エリカ トークイベント 目に見えないものと身体

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男性の視点が長く牽引してきたゴシック小説の世界。しかし、『ゴシックと身体:想像力と解放の英文学』で小川公代さんは、メアリ・シェリー、アン・ラドクリフをはじめとする18〜19世紀を生きた作家たちが、周縁化され、見えなくされてきた女性たちの声、身体を描いていたこと、同時にシェリーの母ウルストンクラフトから続く女性の書き手の系譜とメアリ・シェリーたちゴシック作家たちの戦略をつまびらかにする。

昭和10年(1935年)、日露戦争30周年を迎えた日本。東京宝塚劇場の少女歌劇団の公演に夢中になる少女たちの日常に戦争の足音が迫る。小林エリカさんは『女の子たち風船爆弾をつくる』において、戦争によって日常を奪われ、見えなくされてしまった彼女たちの声、身体を紡ぎ出している。そしてそれは私たちの現在と常に交差している。

18〜19世紀のイギリスのフェミニズム思想家やゴシック作家たち、そして太平洋戦争末期の日本の女学生たち──死んだ後も彼女たちが残した言葉のなかにその魂は生き続けている。そのことがお二人の著作からは感じられます。そんなお二人に、目には見えないものと身体をテーマに、戦争と家父長制によって無力化される女性や子どもたち、組織の枠にはまらず戦争に抗い、踏みとどまるアウトサイダーの価値など存分に語りあっていただきます。

◆アーカイブ視聴について◆
イベント終了後に、配信参加/来店参加の方ともにご視聴いただけるアーカイブ配信(修正済の字幕表示機能付き)を予定しております。準備ができ次第、Peatixのメッセージ機能よりご案内します。
ご案内はイベント終了後1週間前後に差し上げる予定です。

◆サイン会について◆
来店参加のお客様向けに、イベント終了後、小川公代さんと小林エリカさんのサイン会を開催します。当日は今野書店でも『ゴシックと身体:想像力と解放の英文学』、『女の子たち風船爆弾をつくる』を販売しますが、他店様でご購入の本をお持ちいただいてもかまいません。ぜひご参加ください。

〈書籍情報〉
『ゴシックと身体──想像力と解放の英文学』
小川公代 著


松柏社
価格 本体2,400円+税
発売日 2024年3月25日

家父長制に抗う女たちがもちいたものこそ、“ゴシック”の戦術だったのではないか。
メアリ・シェリー、アン・ラドクリフ、メアリ・ウルストンクラフト、ウィリアム・ゴドウィン、ロバート・マチューリン、
エミリー・ブロンテ、シェリダン・レ・ファニュらイギリスのゴシック作家たちの作品を読み解く先に見えるものとは──

目次
“ゴシック”という戦術──序論にかえて
第1章 ラドクリフ『ユードルフォの謎』──生気論と空想のエンパワメント
第2章 ラドクリフ『イタリアの惨劇』──人権侵害に抗する
第3章 ゴシックにおけるヒロイン像──ウルストンクラフトのフェミニズム
第4章 ゴドウィンのゴシック小説──理性主義と感受性のあわい
第5章 シェリー『フランケンシュタイン』──バラッドに吹き込む精気
第6章 マチューリン『放浪者メルモス』──家父長的な結婚を問う
第7章 ブロンテ『嵐が丘』──魂の生理学、感情の神学
第8章 ヴァンパイア文学から#MeTooまで──〈バックラッシュ〉に抵抗する
註/引用・参考文献 /人名・書名索引

『女の子たち風船爆弾をつくる』
小林エリカ 著


文藝春秋

価格 本体2,500円+税
発売日 2024年05月15日

日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。しかし、少しずつでも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。
ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。彼女たちは今日からここで風船爆弾を作るのだ……。

膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。


〈登壇者プロフィール〉

●小川公代(おがわ・きみよ)英文学者
1972年、和歌山生まれ。上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了(Ph.D.)。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に、『ケアの倫理とエンパワメント』『ケアする惑星』、5/30発売『翔ぶ女たち』(以上すべて講談社)、『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版)、『ゴシックと身体 想像力と解放の英文学』(松柏社)、『文学とアダプテーション ヨーロッパの文化的変容』『文学とアダプテーション2 ヨーロッパの古典を読む』(ともに共編、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、『感受性とジェンダー 〈共感〉の文化と近現代ヨーロッパ』(共編、水声社)、訳書に、シャーロット・ジョーンズ『エアスイミング』(幻戯書房)、サンダー・L・ギルマン『肥満男子の身体表象』(共訳、法政大学出版局)などがある。

●小林エリカ(こばやし・えりか)作家・アーティスト
目に見えない物、時間や歴史、家族や記憶、場所の痕跡から着想を得た作品を手掛ける。
著書は小説『トリニティ・トリニティ・トリニティ』(英語版 「Trinity, Trinity, Trinity」翻訳Brian Bergstrom(AstraHouse刊)日米友好基金日本文学翻訳賞2022-2023受賞)、『マダム・キュリーと朝食を』(第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)(共に集英社)他。コミックに“放射能”の歴史を辿る『光の子ども 1-3』(リトル・モア)。インスタレーション作品も国内外で発表し、主な展覧会は「りんご前線 — Hirosaki Encounters」(弘前れんが倉庫美術館)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(国立新美術館)他。
近刊は『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』(筑摩書房)と、音楽家寺尾紗穂との朗読歌劇作品にもなった『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋)。
http://erikakobayashi.com

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【日時】2024年6月1日(土)16:00〜17:30

【配信参加】
・参加費:1,650円
・配信はZoomのウェビナー機能というサービスを使用いたします。
・インターネット接続環境下のPC、スマートフォン、タブレットからご視聴いただけます。
・Zoomご利用にあたっては、事前にアプリをインストールしてください。インストールや使用は無料です。
・イベント中、お客様の顔や音声などは配信されませんのでご安心ください。
・配信映像の録音・録画はご遠慮ください。
・イベント中のお問い合わせや質問コーナーへの投稿は、Zoom画面下部の「Q&A」から送信できます。
・Zoom画面の[字幕を表示] ボタン([cc]ボタン)をクリックで字幕が表示されます。自動生成字幕につき、間違いがございます。イベント終了後のアーカイブ動画で修正済みの字幕がご利用できます。
・原則として、お申込み後はキャンセルできません。当日ご視聴ができない場合でも、アーカイブ配信(イベント終了後数日後に配信開始)を視聴することができます。

【来店参加】
・参加費:2,200円
・定員:35名
・会場:今野書店地下1階
・開演時間の30分前から開場・受付します。
・会場にはエレベーターがありませんので、車椅子やベビーカーでお越しの方は、お手数ですが事前にご連絡の上、ご予約くださいますようお願いします。できる限りご要望に添えるよう対応いたします。
・原則として、お申込み後はキャンセルできません。当日ご欠席される場合でも、リアルタイム配信でご視聴いただけます。また、当日の視聴ができない方もアーカイブ配信(イベント終了後数日後に配信開始)をお持ちの端末から視聴することができます。配信でのご視聴に関しましては、上記の【配信参加】をご確認ください。