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『百の太陽/百の鏡』 刊行記念トークイベント 新井卓×小林エリカ 光の眼差すところ

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【日時】2023年10月15日(日)15:00〜16:30

配信参加費:1,650円
来店参加費:2,200円

『百の太陽/百の鏡』
刊行記念トークイベント
新井卓×小林エリカ
光の眼差すところ

ダゲレオタイプで撮られた写真はなんだか虚ろに見える。現実の一瞬を捉えるのではなくて、折り重なった時間の層を全て含んでいるのかしら、情報量が渋滞している。それを自分の脳は処理することを拒否しているのかしら、「虚ろ」で誤魔化そうとする。「虚ろ」の深淵を見つめる。その時間は潜行の体験で、自分の内奥への問いかけのようだが、答えはその都度違うし、いつしか言葉を見失う。

新井卓という芸術家がまとう「ヤバさ」についてかんがえる。対面した際の物腰の柔らかさは、一見「ヤバさ」の対極にあるように感じた。が、どうもあとあとつらつらと彼が話していた何気ない言葉の端々に思いを至らせると、奇妙なざわめきを覚える。言霊?

芸術家が芸術家たるのは究極のところ、固有の「こだわり」をどのように所持していて、どんなふうに運用していくのかを常に外にひらいて、提示しつづけることにあるような気もするし、その意味で新井という人は徹底して真摯に芸術家であろうとしてくれている。

視覚イメージの芸術家であり、謎めいた言霊使い。その軌跡とその活動そのものが『百の太陽/百の鏡』として結実している。書籍というパッケージにまとわれているが、これは彼の作品だろう。書籍は複製された商品だから、作品じゃないのでは?とおもってください。そしてテキストを表面を撫でるように読みすすめてください。写真?複製芸術?記憶?想うということ、爆発的な光、傷みと夜…。様々なイメージが通り過ぎて、たまにザラリとした感触を残す。稀有な読書体験であり、強烈なイメージの受容となる。

新井が制作において一貫して取り組むテーマが「核」とその歴史、背景の全体である。核と人類。多義的な「核」という存在の実相をどうにか捉えてやろうと奮闘する。その姿がときにユーモラスに活写されていたりもすることに、新井という人の圧倒的タフさ(ヤバさ)を感じたりもする。

対話の相手として私はどうしてもこの人を立てたくて、この人しかいないとおもって、この人じゃなければ成り立たないとすらおもって、お願いして叶えることができた。小林エリカさんである。上野千鶴子氏をして「核に取り憑かれた作家だ、いや核に取り憑いた巫女」と言わしめるアーティスト。この人のヤバさ(タフさ)も相当のものがあるとおもっていて、この二人が空間を共有するこのイベントは間違いなく事件になる。

目撃者を募集いたします。

◆登壇者プロフィール
新井 卓(あらい たかし)
1978年、神奈川県生まれ。アーティスト。最初期の写真術ダゲレオタイプ(銀板写真)を独自に習得。対象に出会ったときの感覚を時間と空間を超えて伝える〈極小のモニュメント〉として自身のメディアとし、核の歴史を主題に世界各地で制作、発表を行う。近年は映画制作、共同研究ほか学際的活動を展開。2016年に第41回木村伊兵衛写真賞を、2018年に映像詩『オシラ鏡』で第72回サレルノ国際映画祭短編映画部門最高賞を受賞。スミソニアン博物館、ボストン美術館、サンフランシスコ近代美術館、ギメ美術館、東京国立近代美術館ほか内外の展覧会に参加、各美術館に作品が収蔵されている。著書に『MONUMENTS』(PGI)、『ドイツ 丘の上の小さなハカセ クラース』(偕成社)、『フィールド科学の入口 災害とアートを探る』(共著、玉川大学出版部)など。

小林 エリカ(こばやし えりか)
目に見えないもの、歴史、時間、家族、災厄などの痕跡を手がかりに、小説、コミック、インスタレーションなどの創作をおこなう。著書は小説「トリニティ、トリニティ、トリニティ」(第7回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞)(集英社)、「マダム・キュリーと朝食を」(第27回三島由紀夫賞候補、第151回芥川龍之介賞候補)(集英社)、シャーロック・ホームズと家族の生死を描く「最後の挨拶 His Last Bow」(講談社)、”放射能”の科学史を巡るコミック「光の子ども1,2,3」(リトルモア)など。展覧会は個展「野鳥の森 1F」(2019年、Yutaka Kikutake Gallery、東京)、グループ展に「りんご前線 ― Hirosaki Encounters」(2022年、弘前れんが倉庫美術館、青森)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(2019年、国立新美術館、東京)など。

◆書籍紹介
『百の太陽/百の鏡 写真と記憶の汀』
新井 卓 著
刊行日 2023/07/07
ISBN 9784000245517
四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 214頁
定価 2,970円
本の内容
最古の実用写真術、銀板写真ダゲレオタイプとともに旅に出る。福島の渚へ、遠野の田園へ、核実験場の砂漠へ、あるいは己の過去、夢と現の境へ――。詩人になりたかった美術家は、絶望と混迷の時代にあってもまた昇る陽を待ちながら、ひとり言葉とイメージを探す。世界と自身を見つめ、未来の先触れに手を伸ばす、文+写真エッセイ。

◆アーカイブ視聴について◆
イベント終了後に、配信参加/来店参加の方ともにご視聴いただけるアーカイブ配信を予定しております。準備ができ次第、Peatixのメッセージ機能よりご案内します。
ご案内はイベント終了後1週間以内に差し上げる予定です。

★サイン会について★
来店参加のお客様向けに、イベント終了後、新井卓さんと小林エリカさんのサイン会を開催します。当日は今野書店でも著著を販売いたします。他店様で購入された本をお持ちいただいてもかまいません。ぜひご参加ください。

【日時】2023年10月15日(日)15:00〜16:30

【配信参加】
・参加費:1,650円
・配信はZoomのウェビナー機能というサービスを使用いたします。
・インターネット接続環境下のPC、スマートフォン、タブレットからご視聴いただけます。
・Zoomご利用にあたっては、事前にアプリをインストールしてください。インストールや使用は無料です。
・イベント中、お客様の顔や音声などは配信されませんのでご安心ください。
・配信映像の録音・録画はご遠慮ください。
・原則として、お申込み後はキャンセルできません。

【来店参加】
・参加費:2,200円
・定員:35名
・会場:今野書店地下1階
・開演時間の30分前から開場・受付します。
・入場の際は必ずマスクの着用をお願いします。
・会場にはエレベーターがありませんので、車椅子やベビーカーでお越しの方は、お手数ですが事前にお問い合わせの上、ご予約くださいますようお願いします。できる限りご要望に添えるよう対応いたします。
・原則として、お申込み後はキャンセルできません。当日ご欠席される場合でも、リアルタイム配信をお持ちの端末から視聴することができます。配信でのご視聴に関しましては、上記の【配信参加】をご確認ください。

〈主催・会場〉
今野書店
住所:杉並区西荻北3-1-8

〈お問い合わせ先〉
ご不明な点がございましたら、event(at)konnoshoten.com[※(at)を@に変換してください]までお問い合わせください。